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日々の生活を、便利に、快適にする『デジタル』を電子雑誌フリック!編集長の村上タクタがご紹介。
第7回は、電子書籍と電子雑誌について
みなさんは、電子書籍や、電子雑誌って興味ありますか? 私の場合、もはや、どちらも生活に密着した手放せないものになっています。
電子書籍……というか、デジタル端末で本を読むという行為は、けっこう古くから提案されていて、何度も『電子書籍元年到来!』『これからはタブレットで本を読む!』と喧伝された割には、なかなか普及しませんでした。
ひとつにはデジタル端末側の洗練度の問題もありますし、やはり『紙の束』としての本や雑誌の扱い易さもあります。安いし、投げても大丈夫だし、多少の水濡れもOK、高解像度だし……。あと、電子出版側に『読みたい本が出ていない』という問題もありました。1年前、Kindleが始まった時に『5万点の電子書籍がある』と言われましたが、都内の大型書店だと100万冊ぐらいの店頭在庫があるということですから、5万点では『読みたい本が見つからない』となっても仕方のないところだと思います。
電子雑誌は、ひとつのアカウントで動作するさまざまな端末で読むことができる。私の作っている『フリック!デジタル』をiPadとiPhoneで表示させたところ。
ですが、私は電子出版の可能性を信じています。何しろ、電子雑誌を出版しているぐらいですから(笑)。前述の通り、紙は便利ですから、すべてが電子書籍になるとは思いません。しかし、将来的には出版の内、何割かは電子書籍・電子雑誌で読むようになると思います。
実際に私は、テキストばかりの書籍に関しては、ほぼ完全に電子版を優先するようになりましたし、雑誌も電子で買うことが多くなりました。
これが電子書籍。ソニーのReaderの最新型PRS-T3S(9800円ぐらい)。eインクは10日〜1カ月ぐらい充電を必要としない省電力性能が書籍の表示に向いている。
ここで、ちょっと電子書籍と電子雑誌という名称について整理しておきましょう。電子書籍は狭義にはテキストベースの電子出版物を指します。文字を大きくすると、その文字サイズで画面が再表示されます(その際、1行何文字か、というレイアウトと文章の関連性は崩れることが多いです)。タブレットやパソコンなどでも読む事はできますが、モノクロのeインクという液晶を使った専用の端末で読む事ができます。アマゾンのKindle Paperwhiteや、ソニーのReader、楽天のKoboなどがこれに当ります。
ちょっとややこしいのは、広義では電子出版物全体を『電子書籍』ということがあるので、そのあたりは文脈から読み取って下さい。本項では一応、狭義の方に統一して書いています。
電子雑誌は、私が作っている『フリック!』のようにタブレットを中心に、スマホやパソコンでも読めるように作られています。雑誌のページをそのまま画像にしたようなカタチになっており、拡大も縮小も自在です。細かい文字や写真も拡大して見ることができますし、物によっては、リンクをタップするとウェブサイトに飛ぶようなURLを埋め込んだり、動画や音声などを埋め込むことも可能です。
電子雑誌と、電子書籍の違いはお分かりいただけましたでしょうか? 加えて、配信しているサイトが多いということも、現状を複雑にしています。電子書籍のみを売っているところもあれば、電子雑誌のみを売っているところもあります。
現状、出版社や個人が直接配信しているケースもありますが、こういう配信元が間に立って、読むためのアプリと決済システムを提供している場合が多いようです。
電子書籍の配信元で有名なのは、アマゾンのKindleストア、ソニーのReader Store、楽天のKobo電子書籍ストア、アップルのiBooks store……などがあります。雑誌の配信元で有名なのは、マガストア、アップルのNewsStand、honto、雑誌オンライン、BookLIve、Zinioなどがあります。また、Koboや、Reader Storeは雑誌も売っていますし、どうやらKindleストアでも配信が始まるようです(だたし、これらの書籍系のストアで買う場合、eインク端末では読めないor読みにくいのに注意)。
なんだか、こうやって説明していくと複雑な感じがしますが、現状では書籍を読みたいなら、eインク端末をひとつ購入して、そこで配信されている書籍を読む。雑誌を読みたいならiPadかAndroidのタブレットでどこかのストアにアカウントを作って、そこで配信されている雑誌を読むという感じです。
弊誌『フリック!デジタル』を配信しているストアはご覧の通り、15に及ぶ。なるべくさまざまなサイトを使っている方に読んでいただきたいと思っているが。
Kindleストアでも雑誌の配信がスタートした模様。まだ数は少ないが。もちろん、弊誌『フリック!』もお読みいただけるようになるはずだ。写真はKindle Fire HDと、iPadのKindleアプリで表示した弊誌『フリック!』(現時点(11月19日)では11月号のみが配信されている)。
業界的には、電子書籍は少しずつ普及してきた感じです。電子雑誌はまだまだですが、それでもいろんな雑誌が配信されてきており、少しずつ便利になってきています。
私の場合、テキストの書籍(小説など)をたくさん読むのですが(たぶんこれまでの人生で2000冊は下らないと思う)、これはもうほぼ完全に電子の方を優先しています。どうしても読みたい本が出てれば紙の本を買いますが、結局持ち歩かなくて読み進まないのです。電子書籍なら何冊でも1台の端末に入れておけるし、連続モノの小説などで続きの巻を読みたくなっても、Wi-Fiさえあれば海外にいたってダウンロードできます。実際、海外に出張の時も従来なら何冊も文庫本を持って行くのですが、端末1台で済むようになりました。また日常でも、1冊読み終わりそうな時に、次の巻を持って歩くような必要もなくなりましたし、もう電子書籍は手放せません。
電子雑誌は、出版点数も、もうちょっといろいろ増えてくれないと、これだけでまかなうというわけにはいかない。また、紙の大きさなどの制約から紙の方が便利なことも多いのですが、これもそのうちに電子の方が便利になると思います。端末が軽くなって、サクサク動くようになって、長時間動くようになって……というような細かい部分の進化の問題です。きっと便利になります。
たぶん、読者の方が一番聞きたいのは、『で、どこで買えばいいの?』ということでしょうねぇ。業界にいる私としては、回答は難しいのですが(笑)。
私が言える範囲で言えば、電子書籍で一番メジャーなのはたぶんアマゾンのKindleストアでしょう。私が愛用しているのはソニーのReader Storeです。対して、雑誌の方は今一番メジャーなのはマガストアです。私自身は、マガストア、NewsStand、Zinio、雑誌オンラインを併用しています。
メジャーな配信元で買えば、将来的に消滅するリスクが少ないかもしれません。私が個人的に愛用しているのは、ハートがこもっていたり、コンセプトが優れていると思うものです。どちらでも、お好きな書店でどうぞ。